矢野 誠 「質の時代」のシステム改革 良い市場とは何か 

自分の読みたいところを中心に読んで、あとはちょろちょろ流し読みしただけなのでアレですが、基本的には「競争と『高質な市場』で『質の時代』を作っていこうぜ」という本・・・のような感じ。ミクロ的な裏づけの部分は大分噛み砕いて説明してあるので誰でも読めるが、2,800円は高い。

本書で読みたかった所というのは、ハリウッドがやっていた映画の配給についての箇所。パラマウントなどの総合映画会社がやっていた、A級映画とB級映画の抱合せ販売についてのところ。この抱合せ販売が、競争を阻み、市場の質を下げ、映画の質をも下げたのだという話。

それ以外にちょっと新鮮だったのは、労働市場の長期雇用についても、この「抱き合わせ」的な考え方で分析していたことである。これに類するものは一般企業の長期雇用と年功序列に関する給与カーブだが、この章では、特にメジャーリーグの選手や、ハリウッドなどの俳優、レコード業界と契約を結ぶミュージシャンについての雇用契約についての分析が主。買い手の独占力と競争の排除の結果、これらの産業の労働市場が歪められていたというような文脈で分析している。

日本では、いま、個人に対する細分化されたサービスに対する需要が増加し、労働者個人の才能が決定的要因となると思われる「コンテンツ」を経済の柱にしていこうとしている。そんな日本の将来の労働環境を考える上で、これはたいへん興味深い内容。

他にも資本市場とかについても書いてあるけど、そっちは未読。