藤原正彦 国家の品格
- 2006年 5月 4日
- 投稿者 : dominion.jp
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実家に帰ったらそこらへんに転がってたから読んでみた。第一章を読んで捨てたくなったが、とりあえず最後まで流し読んだ。
どっかで聞いたことがあるような日本人論や、武士道精神が「重要だ」と言うのは主張だから構わない。
問題は「論理だけじゃダメなんです」って部分の「論理」が実にてきとーにすぎることである。
まず、経済学に関する基礎的知識がない。「市場原理主義」と世間で呼称される、あくまで一つの経済学のスタンス・主義を、まるで近代経済学の論理の帰結みたいに書くのは大きな誤りである。これをわざとやってるなら悪書、知らずにやってるなら更にタチが悪い。「ならぬことはならぬものです」という規範なぞは、近代経済学の一つである新制度派経済学がちゃんと分析対象している。経済学など何も知らぬくせに、知ったか振りして叩くから書く(手抜きの口述筆記本だから「言う」か)から恥をさらす。
「論理や合理性だけではダメなのだ、情緒と伝統こそが大切なのだ」という主張、それ自体に何の論理も合理性もなく、説得力がない。このヒト、「論理という概念が否定されるべきだから」ではなく「単にモノを知らないから」経済学を批判しているだけだ。「市場原理主義」と呼ばれているモノやその周辺、今のアメリカ形の社会・経済の諸制度が良いとは必ずしも思わないが、それを批判するに当たり、論理や合理主義を闇雲に否定して「日本人は優秀。情緒万歳。」と引きこもるのは、方向性もやり方もぜんぜん間違ってる。
こんな本が売れるのは危機である。