なぜ白田先生は有力政治家(担当大臣やその分野の大物族議員)ひとりに絞っての説得工作をしなかったのでしょうか。言っていないだけで試みたというのであればごめんなさいですが、それが大胆な政策変更を迫る際には、現代日本ではそれがもっとも成功確率の高い手法なのですけれども。
良くも悪くも霞が関は一般に漸進主義ですから、名案と思われるアイデアであっても、それなりに世間的認知のないものを大胆に取り入れることはなかなかありません。小泉前総理の郵政民営化が典型ですが、他方、有力政治家の決断は、そうした漸進主義の相補をなす政策決定パスとして機能しています。霞が関ではなかなか合意が得られない政策が、大臣や与党の強い後押しにより実現するというのは、少なからず見られる事例です。
それだけのエネルギ、頑張ったという自己満足を得たいがためというならばともかく、実現に少しでも近づきたいというのであれば、あちらこちらの講演で語り、雑誌記事で一般に訴え、オンライン記事でみなに訴え、審議会で官僚や学者に言いたいことを言い・・・というだけでなく、たったひとりでいいので、有力政治家を説き伏せることにその一部を割くことがよほどの近道だと思うのです。実際の政策決定過程に多少は携わる身としては。
白田先生、なんで国会議員に話をしないのですか? – bewaad.com

有力政治家を直で説き伏せることが本当は歪んでるのか、それとも、問題点を国民に訴えることで政治と行政を変えようとする白田氏の民主主義が愚直なのか。

現実に行政官の立場から言えば、政治家に対するロビーが有効であるのはそのとおりである。しかし、白田秀彰の著作から所有権概念や制度設計に興味を持って役人になった身としては、それ以外の手段を「自己満足を得たいがため」と言ってしまうのはどうなのかと思うし、政治家にロビーした方がよいと言ったところで、相手は所謂ところの「業界」である。そのロビー活動こそ自己満足で終わるのではないかとも思う。