規制緩和の自己目的化?
- 2009年 5月 21日
- 投稿者 : dominion.jp
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JASRACへの排除措置命令に関連し、公取委と文化庁の両課長級へのインタビューがITproに載っていた。
まず公取委側
(記者)著作権ビジネス,ことに音楽は「嗜好性の強いもの」であり,「競争原理にそぐわない」という反論もある。
(公取委第四審査長)JASRAC以外の管理事業者が一定のシェアを確保すべきと指摘しているわけではない。単にシェアが高い,ということだけで独禁法を適用することはない。高いシェアを誇る事業者が,それを維持するための行動をとった場合に,独禁法が適用される。この考え方に現行の契約体系が該当し,新規参入を阻害していることを問題視している。
また,著作権ビジネスが「競争原理にそぐわない」とまでも考えていない。
(中略)
(記者)仮にJASRACが排除措置命令を受け入れても,それが新規参入事業者のシェア確保やレパートリー拡大につながるとは限らないとの指摘もある。
(公取委第四審査長)JASRACオンリーという世界と,複数事業者が存在するという世界ではどちらが望ましいのか。公取委としては,著作権等管理事業法という新規参入が認められた新たな仕組みの中で起こり得る競争は,大事にしなければならないというスタンスだ。そこに新たな契約システムが生まれ,より市場の活発化につながるものと考えている。
以下、文化庁側
(記者)著作権等管理事業法が機能していない,という認識はあるのか。
(文化庁著作権課長)それはない。いわば,規制緩和という大きな流れの中で制定された法律。実際,複数の管理事業者が新規参入しているわけで,機能はしている。別の分野で新規事業者が収益を上げた分野もある。
(記者)JASRACが巨大な存在でありすぎることが,他事業者の進出そのものを阻んでいるとの指摘もある
(文化庁著作権課長)「大きいこと自体がけしからん」というのであれば,(NTTのようにJASRACの)分割という選択肢もあっただろうが,少なくとも著作権等管理事業法が目指すところではない。
また,(権利者を含む)利用者側からすれば,1カ所で集中管理できる方が明らかに効率的。今回のケースでいえば,だから放送事業者は最も大きな団体であるJASRACと契約を結んでいるわけだ。加えて,著作権等管理事業法の立法準備が進んでいた当時,日本民間放送連盟(民放連)は新法設立に反対した経緯もあり(編集部注:民放連は本誌取材に公の場で反対した事実はないとしている),あくまで集中管理の効率性を求めていたと見ることもできる。
(記者)公取委の求める市場形成のあり方は,著作権管理事業法とは関係ないと。
(文化庁著作権課長)そうだ。著作権等管理事業法は同等規模の管理者団体が複数並び立つことを目指して制定されたのではなく,あくまで規制緩和の一環,国家のコントロールを狭めることが目的となる。その意味では,個人的に今回の公取委の排除措置命令には疑問を感じる。仮にシェアを問題とするのであれば,別に新たな法律を作るしかないだろう。
独占に対するスタンスの違いが露骨でおもしろいのもあるけれど、それにしても、微妙なのは著作権課長のインタビュー内容。記事からは「規制緩和」という手段の自己目的化を堂々と肯定されているように読める。それって行政ツールの一つを役所が自分から放り出しているにも等しいわけで、ここまで言い切られると、それはそうなんだろうけど、もう実になんだかなぁという感じが。
実際にそういう空気の中で作られた法令なのかもしれないけど、もっと他に言いようがあるんじゃないでしょうか。
…とりあえず、あゝ規制影響分析、と。